Interview: Mirei Maruoka
Student Interview: 丸岡 美礼さん
2012年から6年間、KA 中高生プログラムに在籍し、そしてその後も6年間、医学部で勉強をしながら、KA のラウンジアシスタントとして在籍生をサポートしてくれました。2024年春からは研修医として、次なる目標へ向けて力強い一歩を踏み出しました。
自身の帰国生としての経験や、受験体験を踏まえた受験生へのアドバイス、KAの思い出、そして自身のこれからについて話してくれました。
インタビュー内容全文(日本語)
自己紹介
皆さん、こんにちは。丸岡美礼です。私は元 KA 生で、現在はラウンジアシスタントをしています。(インタビュー当時)
アメリカでの生活
私は日本で生まれて、6歳くらいのときにアメリカのノースカロライナ州に引っ越しました。最初の数ヶ月は英語がまったく話せなかったので、授業中は無言でした。周りの友達がたくさん助けてくれようとしていましたが、私は自分の殻に閉じこもったまました。今振り返ると、その助けすら怖く感じていたのだと思います。
ですが、最初の数ヶ月が過ぎたころから、少しずつ授業についていけている実感が湧き、友達とも毎日のように遊んでいました。特に私が住んでいたノースカロライナ州は、緑に溢れていたので、友達と公園に行っては、バッタを捕まえたりして、とてもアクティブに過ごしていました。そのような「言葉を必要としないコミュニケーション」のおかげで、友達との距離を縮めることができたと思います。それから英語力も少しずつ追いついていきました。私は約5年間そこで生活していました。5年間と聞くと子どもにとっては長く感じますが、実際はあっという間でした。
日本への帰国
日本に戻ることを母から聞いたときは、ただただショックでした。土曜日の数時間は、学校で少し日本語を勉強していましたが、実際のところペンはなかなか進まなかったし、読書もあまりしませんでした。当時は日本語よりも英語で生活する方がずっと快適でした。1日の中で日本語を使っていたのは、おそらく家で母親と話すときだけで、兄弟とは英語で話していました。なので、戻ると知ったときは本当に不安でした。特に長い時間をかけて仲良くなった友達、彼らとは5年間も一緒に過ごしていたので、みんなと離れ離れになってしまうのは本当にショックでした。
そして私は、小学校卒業が間近に迫った頃に日本に帰国しました。周りのクラスメートほど日本語を話せなかったので、案の定、クラスに溶け込むことは、私にとって大きなチャレンジとなりました。また日本で人気な歌手やニュースにも疎かったので、周りの友達がその人たちの話をしているのについていけませんでした。最初の数ヶ月は、やはり孤独を感じることもありましたが、多様性に満ちたアメリカで生活した経験は、自分が何を知るべきか、友達とどのようにコミュニケーションを取るべきかを把握するのにとても役に立ったと思います。なので俯瞰してみると、帰国したばかりの頃は本当に怖いけど、徐々に快適になってくるのだと思います。私の場合はそうでした。
英語とのつながり
日本に帰国後、日本の文化や日本人の友達をはじめとした身の回りの環境に慣れ始めた頃、英語を忘れてしまうかもしれないという不安はありましたが、私はアメリカで仲良くなった友達と連絡を取るようにしていました。当時は今ほどSNSが発達していなかったので、お互いの近況を長文でメールし合ったりしていました。彼らとコミュニケーションを取り続けたいという気持ちが、英語学習を続けるモチベーションにもなりました。
わたしの受験
私の受験は、たくさんある志望校それぞれの文化祭に行くことから始まりました。第一志望、第二志望を順に決めて、それから第三志望も決めました。正直なところその第三志望の学校は、当時はまだ帰国生向けの英語のプログラムがなかったので、他の2校ほどの熱量はありませんでした。(今はその学校にも帰国生向けのプログラムがあると思います。)ただその学校の文化祭に行ったとき、居心地の良さを感じたのです。結局、その第三志望の学校に行くことになりました。はじめは、第一志望にも第二志望にも入れなかったことに落ち込みましたが、振り返ってみると、文化祭の日に初めてあの学校に行ったときの、妙に落ち着くような感覚は正しかったように思います。受験が終わった直後は、決してがっかりしなかったとは言えないですが、10年経った今となっては、最高の選択だったと思っています。
中高生のときの面白い経験
私の中学・高校での面白い経験は、フランス語を習ったことです。当時は英語とフランス語のどちらかを選ぶことができたのですが、私は入学してから初めてそのことを知りました。驚きましたが、新しいことを学ぶ絶好の機会だとすぐに考えが変わりました。おそらく、これが初めて挑戦したことの内の1つだったと思います。アメリカで育ったので、ある程度年齢を重ねてから新しい言語を学び始めるということがどういうことなのか、あまりわかっていなかったからです。そして、学校でフランス語を学んだ6年間は、私にとって素晴らしい経験でした。当時は大変だったと思いますが、今でも数少ない宝物のひとつです。中高生でフランス語を学べたことは、今までにない大きな経験だったと思います。
KAに入るまで・KAの印象
KA のことは、中学で同じクラスの友達から知りました。お互いの受験について話していたとき、彼女が「KA」というところに通っていて、そこにはネイティブの先生がたくさんいることを教えてくれました。そこには私が当時通っていた塾にはなかった English Only(日本語禁止)というルールもあったので、母親に相談して、体験レッスンに申し込みました。
体験レッスン当日、校舎に一歩足を踏み入れたとき、「Hi!」「Hello!」と誰かが挨拶してくれたことに、とても驚いたことを覚えています。後にそれが KA のアシスタントだと知ったのですが、とにかく玄関で誰かが笑顔で迎えてくれたのです。もちろん英語で。その瞬間、緊張の糸がほぐれました。歓迎されている感じがして、あの時は本当に嬉しかったです。
そして、中高生クラスのレッスンに参加したのですが、すぐ隣で中学受験クラスをやっていたので、休み時間に彼らの世間話を盗み聞きしました。ただの世間話なのに、彼らは私の知らない単語を使っていて、さらに彼らの会話のテンポは実に滑らかでした。それはとても衝撃的でした。同時に、こんな子達が私の受験のライバルだったんだということを知って、ショックを受けました。ですが、第一志望にも第二志望にも合格できなかったことに納得できた気もしました。それまで私は「あの日、自分はできることを精一杯やった。なにかが上手くいかなかっただけだ。」と自分言い聞かせていたんだと思います。
KAに来て、自分よりずっと英語力に長けている人がいるのを見て、理解したというより、事実を受け入れることができました。また私はすでにフランス語の勉強を始めていたので、彼らにはないものをもっているという誇りがありました。主張したいのは、私は自分にとってベストの学校に入学することができた、ということです。ですがとにかく、私はその立派な受験生を目の当たりにして、年上の人間として、受験を経験をした人間として、本当にショックを受けました。一方で、今日がここ(KA)での初日、このコミュニティの一員になれるんだとも思いました。驚きや衝撃もありましたが、KA の一員になれたということに本当に感激しました。そして、これから始まる日々にワクワクしました。
次のステップへ向けて KA で得たこと
それから私は6年間 KA に在籍して、毎週のコアクラスを受けたり、早めに校舎に来て、KA にいなかったらおそらく手をつけなかったであろう本を借りたりしていました。
大学に入学するとき、当時の日本でも今の日本でも、多くの大学において、英語は試験の大きな部分を占めていると思います。その点で私は、海外に行ったことがない学生、KA で学んだことがない、もしくは KA のような環境で学ぶ機会がなかった他の学生と比べて、大きなアドバンテージをもっているという自負がありました。KA での最後の2年間は、Joe-Joe のレッスンを受けましたが、そのおかげで、試験で良い点を取るだけでなく、1点も逃さないように鍛えられたと思います。それは本当に試験対策以上に感じました。KA で学んだことは、私の大学受験だけでなく、今の生活の支えにもなっていると思います。
KAで面白い・印象深かったこと
私が通っていた別の塾も含めて、日本で KA みたいな塾はないのではないかなと思います。ドアを開けたら「Hi! Mirei!」って、名前を知られているのですから。あの時は Wakae が「Hello!!!」って、すごく元気な声で。特別面白い話かどうかはわからないですが、いつもアットホームな感じで、とても居心地がよかったのを覚えています。レッスンが終わって、ラウンジに帰って本を借りようとすると、「Welcome back!」って。 そんな日本の塾は他にないと思います。生徒が来たことも、帰ったことも、誰も知らないといった塾の方が多いのではないでしょうか。特に当時は、代田橋校や明大前校がオープンしたばかりの頃で、KA 自体がとても小さな塾だったこともあり、みんなが生徒一人ひとりを知っていて、毎週、毎週、温かく迎えてくれました。
KAのアシスタントになった理由
KA でアシスタントとして務めはじめて、今年で6年目になりました(インタビュー当時)。KA に在籍していたとき、校舎に入ると誰もが「Hi Mirei!」と声をかけてくれました。みんな私の名前を知っていて、みんな挨拶してくれました。後に、それは KA のアシスタントだったことを知りました。毎週、温かく迎え入れてくれたので、本当に安心できましたし、私もその一員になりたいと思ったのがきっかけです。
高校を卒業後、私は大学に入る前に1年間休学していたので、その間、時折 Joe-Joe に自分の英語について相談していました。Joe-Joe は私が送った英文のパラグラフなどをチェックしてくれました。そのやりとりの中で、KA にはアシスタントというポジションがあり、大学生がラウンジのアシスタントとして KA で働いているという話を聞いて、とても興味が湧きました。そしてオフィスにメールして、アシスタントポジションに空きがあることを聞きました。それから6年後の今も、私はここで働いています。当時はアシスタントファミリーの一員になれることをとても楽しみにしていましたし、今はその一員であることを誇りに思っています。
私が KA 生として受けた安心を、今の生徒一人ひとりが感じられるよう、温かくお出迎えすることを心がけています。私が生徒だったときは、みんなが私の名前を知っていてくれたり、私が新しい本を借りるのをアシスタントの方が手伝ってくれたり、何もかもが嬉しかったので、今度は私の番だと思って、彼らに倣ってアシスタント業務に励んでいます。
私が生徒の人生に変化をもたらした瞬間
ある生徒とのエピソードがあります。その子は中学2〜3年生くらいで、受験生ではなく、私と同じように、中学校に入学してから初めて KA に来た生徒でした。その日は彼女にとって KA の初日で、はじめは本当に無口で、緊張しているのが見て取れました。まるで、生徒としてはじめて KA に来たときの私を見ているようでした。彼女は、私との会話で少しずつ緊張がほぐれたようで、帰る頃には来たときにはなかったような満面の笑みを浮かべていました。次の週にまた KA に来ることをとても楽しみにしているようでした。私が KA 生のときに、休み時間によく話しかけてくれたアシスタントのように、今度は私が、私と同じようなバックグラウントをもつ生徒をサポートしてあげられることは、本当に嬉しいことだと実感しました。
そしてもう1つ覚えているエピソードは、私は現在、医学部の6年生なのですが(インタビュー当時)、この春 KAで働き始めたばかりのアシスタントが、彼女のシフト初日に私のところに来て、「あなたは私が KA 生だったときの、アシスタントの1人でした!」と話してくれました。面白いですよね。
KA 初日の生徒にアシスタントとして挨拶した日、元 KA 生の別のアシスタントに初めて挨拶をした日。この2つの経験は、私にとって本当に特別なものです。
10年後の自分像
私は今、医学部の6年生ですが(2024年春卒業)、この5〜6年間は本当に勉強づくしでした。そして、英語力をアドバンテージにすることがいかに重要かを本当に実感しました。本当に。授業を通してだけでなく、臨床の現場に足を運んだときもです。病院には日本語を話せない患者さんもいます。そのような患者さんのために、その国の言葉を話すことができる人間がそばにいることは、患者さんにとっても、私たちにとっても、本当に心強いのです。なので10年後は、自分の英語力を何らかの形で、研究や臨床の場面で使えるようになりたいと思っています。英語と日本語の両方で、患者さんとコミュニケーションが取れるような医師になりたいです。特に日本では観光客が増えていることもあり、外国からの人が増えています。両方の言葉を話せる医師が1人いることは、彼らにとっても、日本の病院事情にとっても特別なことだと思います。私もそのような医師の1人になりたいと思っています。
受験生へのアドバイス
KA なしで受験を終え、その後に KA に来た立場から振り返って思うことは、KA で使われている教材は素晴らしいということです。教材だけでなく、環境もです。KA の外で受験を経験した身として、そして生徒として KA を知り、アシスタントとして戻ってきた身として、KA で勉強している受験生、あるいは将来 KA で勉強する受験生へのアドバイスは、とにかく先生と教材を信頼することだと思います。私は KA で受験勉強をしていないので、正直なところ、今でも本当に羨ましいと感じます。ネイティブスピーカーの先生がいて、英語だけの環境で学べるのですから。繰り返しになりますが、KA は本当にレベルの高い教材を使っていると思います。受験当時、私も使っていたらなと思います。本当です。なので、自分が持っているものすべてを信じて、それを最大限に活用することが、受験を目指す皆さんへの最高のアドバイスになると思います。
おわりに
私の話を聞いてくれてありがとうございました。Happy Studying. なにか困ったことがあったらいつでもアシスタントのところに来てくださいね。喜んで皆さんをサポートします。