Interview: Miu Kumakura
Student Interview: 熊倉 未有さん
KA 6th Juken Program(2011年度)を受講、ハーバード大学を卒業後、NGOや政府の国際開発業務に携わるコンサルタントとして活躍されています。 帰国生へのアドバイスはもちろん、自身の体験や、彼女にとってKAはどのような場所だったのか話してくれました。
インタービュー全文(日本語)
自己紹介
こんにちは、KA 卒業生の 熊倉未有です。
私の成り立ちに KA はとても深く関わっています。私はブラジルのサンパウロで生まれ、その後、幼い頃に 2 年間、日本で過ごしました。それからヨーロッパのスペイン、イギリス、フランスに合計7 年間住み、小学 3 年生のときに日本に戻りました。東京で 5 年間過ごし、その間に小学生から受験を経て中学生になりました。そして、高校入学と同時にアメリカのニューヨークへ引っ越し、初めてのアメリカ生活を送りました。それ以来ずっとアメリカに住んでおり、もう 10 年が経ちます。
アメリカの大学を卒業し、今は日本に遊びに来ています。国際的な生活を経験できたことに、本当に感謝しています。この経験が私の世界の捉え方や将来の夢を形づくったことは確かです。冒険心を持ちながら物事に取り組んだり、人々と出会う中でそのオープンなところや目新しさを楽しみながら成長できたように思います。それは、私が日常的にどう世界と関わるのか、物事や問題にどう対処するのかという姿勢を作り上げることの一助となりました。これからは国際開発の分野で働きたいと思っていますが、そう思ったのも、幼い頃から新しい文化に触れ、世界の知らないことに好奇心を持ち、さまざまな場所に存在する格差に興味を持った背景があります。そして、そのような分野で問題解決に取り組みたいという思いから、大学では国際関係学を専攻し、今後はニューヨークの国際開発関連の会社で働くことになりました。私の育った環境は、私が選んだわけではありませんが、間違いなく今の私につながっており、また今の私へと導いてくれたと思います。
日本への帰国
小学 3 年生の時の日本帰国は、私たち家族にとって予期せぬものでした。まだ子どもの私は大きなカルチャーショックを受けました。それまで海外のインターナショナルスクールに通い、とてもヨーロッパ流で国際的な環境の中で育てられていた私にとって、KA はすぐに「ホーム」になりました。私の両親は、帰国するとすぐに私と姉を KA に入学させました。KA は、私たちがヨーロッパに住んでいた頃と同じレベルの英語スキルを維持するための学習環境が整っていました。これまでの 10 年、15 年を思い返したとき、私がこれまでやってこられたこと、得られたチャンスは英語のスキルを維持したからこそであって、KA にとても感謝しています。
私が入学した時、KA の教室は 1 部屋のみで、私のクラスには 3 人しか生徒がいませんでした。幼い私が読書好きになったのも KA のおかげです。ソファで 8 時間、没頭してハリーポッターを読んだ夏の日々は今でもよく覚えています。。それがきっかけで英語スキルの維持に本腰を入れるようになり、小学 3 年生で帰国しながらも英語で中学受験をしました。中学校でも英語のスキルアップに取り組み、やがてアメリカでの実用につながったと思っています。
KAの印象
KA の第一印象は「我が家のような場所」でした。当時のこぢんまりとした KA はアットホームな印象で、スタッフとの距離も近く感じました。私が入学してすぐに自分の居場所を見つけたと思えたのは、KA の English Only のルールや、入学初日から海外のインターナショナルスクールに似た雰囲気を感じられたことが大きかったと思います。その後、私の成長と同時に KA も拡大していきましたが、当初の雰囲気は今でも続いていると感じます。先生方が生徒に対して、自由な発想で自分の考えを表現するよう促したり、好奇心や心のままに発言することに重きを置く点は、日本の公立小学校とは違いましたが、私はそんな KA の環境にとても感謝しています。KA では、低学年のうちから、自分に与えられた全てのチャンスに目を向けるよう生徒に教えてくれます。その考え方は、中学や高校の学業にも生かされ、その後の私にも引き継がれています。中学受験の際には「上手くいく可能性だってあるのだから」と、合格するにはかなり努力が必要な難関校にも挑戦し、精一杯努力しました。KA から学んだ姿勢を実践したのです。
海外大学への進学
KA の卒業から何年も経ってから渡米しましたが、アメリカでも KA で身につけた姿勢は崩さず、私は競争率の高い難関大学に出願しました。そして、カリフォルニア大学バークレー校に通う機会に恵まれました。バークレー校は美しいキャンパスを持つとても大きな、伝統ある大学です。そこで私はとても楽しく過ごし、素晴らしい経験を積みました。バークレー校で 2 年間過ごした後、引っ越しの多い幼少期を過ごした影響か、新しい経験がしたいという気持ちで居ても立っても居られなくなり、私は再び東海岸に戻り、ハーバード大学で大学課程を修了しました。まさか自分にそんなことが出来るなんて想像もしていませんでしたが、「今と違う、大きな目標を立てる」ことや、「不可能だと思ったことにチャレンジする」といった精神は、KA で初めて学び、後に、両親や自分の成長とともに体得していきました。
大学生活での出来事
ハーバード大学に入学後、最初の学期中に面白い偶然がありました。校舎の移動でキャンパスを歩いていると、小学 3 年生の時に KA のクラスメートだった Chihiro に遭遇したのです。彼女も KA 初期の生徒のひとりでした。当時のクラスには、先生の Joe-Joe、Chihiro ともうひとりの生徒 Ken、そして私しかいませんでした。当時の 3 人のクラスから、6,000 人以上の生徒を有する大学という全く違う環境下で、数年ぶりにお互いに行き当たるのは本当に素敵な体験でした。想像もしないシチュエーションに 2 人が存在し、そこで KA のつながりを感じることができたのは、とても嬉しかったです。
大学受験
アメリカの大学受験で、大勢の受験者の中から私が選ばれたのは、エッセイの評価もあると思っています。KA のライティング教育はとても優れていると思います。私は KA 在学時、週末にライティングクラスを受講していました。授業では言葉で自分を上手く表現する方法を学びました。その後在籍した洗足学園中学校でもそのことを意識して課題に取り組みました。出願書類で自分の考えや性格を 750 語程度で収めなければならなかった際にも、自分を最大限に表現することができたと思います。その学びの甲斐もあり、私は他の受験者より際立つことができました。自分の生い立ちや背景を振り返り、その中から何を 1 番伝えたいのか明確にすることができた点も良かったのだと思います。振り返りや自己認識ができるようになるには、サポートしてくれる良い友達や家族の存在もありますし、受験や幼い頃の経験など巡り会えたチャンスも大きいです。
大学卒業から現在
2021 年 5 月にハーバード大学を卒業してからは、自分が興味がある分野と勉強してきたことを結びつける作業をしてきました。大学では国際関係と国際開発問題を専攻しましたが、個人的にデザイン、その中でも特に都市設計と参加型デザイン思考に興味を持ち、この分野への興味も諦めたくはありませんでした。この 1 年はネクサスデザインの開発を探求し、世界中の数ある国々の中から、ウガンダに辿り着きました。ウガンダでは、独自に 6 か月のフェローシップを立ち上げ、人口増加がみられる地域や急速に発展している国におけるグリーン成長、持続可能性(サステイナビリティ)、都市計画について勉強しました。ウガンダでの生活は楽しく、私が全く馴染みのない国でも落ち着いて生活できたのは、環境の変化が多かった幼少期があったからこそであり、家族のサポート体制とそこで築いた友達のおかげだと実感しました。ウガンダで 6 か月を過ごした後、ニューヨークに戻り、このネクサスという概念をさらに追及するため、ハーバード大学デザイン大学院のオンラインコースを受講しました。このクラスの受講により、私のデザインへの興味は確固たるものとなり、将来のキャリアにつながる可能性を見出しました。デザインと開発の融合も将来的に期待ができると思っています。これからコンサルタントとして入社するダルバーグ社でも、引き続きこのネクサスについて学んでいこうと思っています。ダルバーグ社は、世界中の NGO、政府、シンクタンクに対して国際開発事業に関するアドバイザリー業務を行っているコンサルティング会社であり、それぞれが抱える持続可能性(サステイナビリティ)、貧困撲滅に対するイニシアチブ、男女同権などの課題について助言をしています。
帰国生へのアドバイス
これから成長し、学業や、そしておそらくプライベートでも成功を収めたいと思っている若い学生たちへの私からのアドバイスは、とにかく好奇心を持つこと、そして何があっても自分を信じることです。私の父は私の人生における最大のサポーターのひとりですが、いつも「やってみないとわからないのだから、とにかくやってみろ」と私に言います。ワクワクすることはとにかくやってみて、なりふり構わずそれを追求する癖をつけることにより、私はこれまで多くのチャンスを得ることができ、自分自身を深く知ることができました。。成功とは予測不可能で、その道は全く予期していないときに目の前に現れるものです。とにかく自分を信じること、それが成功への 1 番の秘訣だと思います。